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世界は今  息を吐き

2014年  制作

赤と黒の紙。トレーシングペーパー。ボルト。

全6編

 

撃ち落とせ 

その無垢の手で

昨日さらった夢は記憶の傷になり

朽ち果てて誰かの脳に沈んでいく

邪魔にし正常な判断を下す何者かが手をかける

静かに払いのけ

もう一方の手を触れ

NEXT MODEL

2013年  制作

和紙。トレーシングペーパー。ボルト。

全5編

 

 

開かれた窓に手を伸ばし

空気の渦に腕を取られる

記憶は繋がれて

置き忘れた名前を

投下する

2014年   制作

トレーシングペーパー。ハトメ。ボルト。

全5編

翼を
天に映し そのささやかなる美を誇る 地を蹴り 風に乗る瞬間 全てを放出する世界を見る 
静かなる永遠を手に入れよ

角を持ち地上から吼えるもの 牙を持ち大空を羽ばたくもの 爪を持ち森を駆け巡るもの 

小さな耳を持ち小さな体を懸命に揺らし 草原を走り抜けていくもの 彼らの前に道はなく 

彼らの後ろに影が揺らいでいく 理想郷は遥か 夢の時計は ねじがなく 巻かれていく その軸の中で 出番を待っている

朝日が昇る前か 夕日が沈むまでか 翼を空でつかみ 我がものとする獣よ

感情を浴び 我を拾い

樹海に眠る一粒の真珠

詩の飛翔 疾走する世界

2013年  制作   トレーシングペーパー。ボルト。

「陸へ」「海へ」「空へ」「天に」の4編をそれぞれ1編ずつ1冊のアートブックにした。

翌年、「翼を」を加え、合計5編にし、タイトルを「樹海に眠る一粒の真珠」として発表。

 

陸へ

向かう舟 立ち向かう 嵐の前触れ 以前にも経験したことのある あの鐘の音が聞こえる 雨と風は 私に味方し

多くのことを教え そして突き放していく 我を創造するものが立ちはだかり 冷たい視線を投げかけ両手の平を広げる

受け入れるべきか 私は 伝わる その場所へ行き 何を求めようというのか 静かな叫びが疾走する 我の声 こだまし

響き渡るかに見え 地へ 落とし込まれていく 地中深く沈むものは 欠けらという 一粒の生 静かに呼吸し

蠢く日を夢見る新たな命 我は それを掴み 自らのものとする勇気を与えられるのか 我は 舟を漕ぐ どこへ行くのか

分からない進路を見出しながら

星屑披露

2014年  制作

コピー紙。ボルト。全7編

箱に入った両手の平に収まるくらいの小さなアートブック。

目の前を通り過ぎ

軌道を指差し

訪ねていく私の意識

誰かが呼吸するように囁き

あなたの主張する

七つのほとばしりを見せよと言う

私は頷き 1つ目を数え

理由を超えた叫び

2013年  制作

グレーの紙。ボルト。

全14編

 

雑音と雑踏の中で

藻屑となって消えていくひと文字を

何の抵抗もなく 拾っていく

後ろ姿が似ている

追いかけ 追いつこうとして 引き離される瞬間

2008年   制作

白のクラフト紙。ボルト。

1編の詩を1冊の詩集にした。

 

私の右目に 白い花が映り 私は小さな芽を摘んで 握り締める 私の芽は 私が摘む

誰にも邪魔されない 私の庭には 白い花と花の影 陽は平等に日なたを作り 影を作る

私は冷静で平凡な目で 見詰める 事は起こる 自然に起こる 罪も幸も不幸も自然体

私は私の芽を摘み 私の庭で育て 私の庭で花咲かせる 見える時には 全てが一瞬

私の庭は公開されない 覗き穴から垣間見る者 罪も幸も不幸も自然体

私の左目に 白い花の影が映り

私は覗き穴から世界を見る

メイド詩人マリネ

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